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会計知識

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ROIC(投下資本利益率)

最近、新聞紙上で『ROIC』という用語よく見かけるようになっています。資本コスト経営が話題になってきている流れからでしょう。
そこで、今回はその意味について解説します。ROICは『Return On Investment Capital』の略称で投下資本利益率を意味しています。
一般的には税引き後営業利益を投下資本(自己資本+有利子負債)で割って算出され、投じたお金に対してどれだけ利益を稼いだかを測る指標になっています。
自己資本だけでなく有利子負債(借入金や社債など)を含むのが特徴です。
また、ROICは分解すると次のように➀『投下資本回転率』と➁『売上高営業利益率』の要素からなっていてより理解がしやすくなっています。

ROIC=税引き後営業利益/投下資本(自己資本+有利子負債)
  =➀ 売上高/投下資本 ✕ ➁ 税引き後営業利益/売上高

DOE

DOE(Dividend On Equity)は、純資産配当率のことで、最近、配当性向とともに企業に対する投資家の評価指標となっています。
DOE=配当総額/純資産額で計算されます.

この式は当期利益を関連させることで次のように変形されます。
配当総額/純資産額=配当総額/当期利益 × 当期利益/純資産額

すなわち、配当性向 × 純資産利益率 となりますので
DOEが高い会社は、配当性向か純資産利益率のどちらかが高いか、両者がともに高いことになるので
投資家の評価が高い企業となっています。

株価連動報酬

カルロス・ゴーン氏が報酬過少記載していた問題で話題になったSARは
「ストック・アプリケーション・ライト」の略で、業績に連動する報酬の一種のこと。

取締役の報酬については、企業の業績に対する貢献度合いが問われるもので単に労務の対価ではありません。
保守的なマネジメントにならず、如何にして企業価値を高めるかが問われています。

そのためには、積極的な活動を行うことを評価する仕組みが必要であり、
その結果としての報酬であることを打ち出す必要があります。

取締役のアグレッシブな活動を評価する指標の一つが株価であり、その株価の変動に応じて
報酬を決めていくもののの一つはSARです。

SARは、一定の期間を定めて株価があらかじめ決めた価格を上回った場合に、
その差額部分を報酬として支給する仕組みになります。

株式や株式を購入できる権利でなく、現金で受け取れるのが特徴であり、
株価下落時にも追加的支給がないだけで減額されることはありません。

粉飾決算

企業の決算数値に関して、意図的に実際よりも過大または過少に表示された決算を言いますが、一般的には、過大に表示されたことを言います。
外部からの業績に対するプレッシャーが強いと、経営者は業績を良く見せたいという意識が働き
実際の数値をごまかして架空の数字を示してしまうリスクが高くなります。

粉飾決算を行う場合は、損益計算書で売上高や利益額を過大に計上したり、費用を少なく計上することになります。
これを受けて、貸借対照表では資産の過大計上や負債の過少計上が行われますが、一般的に貸借対象項目では、売掛金や在庫で処理されることが多いです。

粉飾決算は一度行うとその解消が難しく、ずるずると引きずってしまい発覚した時には大きな額になっていることが多いものです。
損失の穴埋めのためにさらに大きなリスクの取引を行い、結局、また損失を大きくしてしまうといったことに似ています。
業績が悪いと粉飾の誘惑にかられがちですが注意が必要です。

また、逆粉飾という言葉があります。
これは、言葉の通り、実際よりも過少に数値を調整した決算を言います。
いわゆる脱税的な操作で、この場合に操作されやすい貸借対照表項目は在庫(製品、商品、仕掛品、材料等)になります。

PBR

PBRはPrice Bookvalue Radikoの略で簿価純資産倍率のことで、株価を一株当たり純資産額で割った値を言います。
すなわち、株価が一株当たり純資産額の何倍かを示す指標(=株価÷1株当たり簿価純資産額)で、
その値が1倍未満ということは、その企業の価値(=株価)が解散価値よりも低いということで
割安のお買い得株ということになります。

ところが最近では、大手老舗企業のPBRが1倍未満となっているところが多く金融機関などはその典型です。
投資家にとっては、今お買い得であるということは近い将来に成長すると見込めるからこそ。
その点がクリアになっていないと見た目はお買い得でも実態はダメ企業という評価に過ぎなくなります。

PBRは分解すると、PER(株価収益率)× ROE(自己資本利益率)×になります。
すなわち、PBR=株価/一株当たり純資産額
        =株価/一株当たり利益 × 一株当たり利益/一株当たり純資産
        =PER(株価収益率)×ROE(自己資本利益率)

このことは、経営者が経営の効率化を図る(=ROEの向上)ことをしなければ、
投資家の期待(PERの向上)に結びつかず、
PBRが必ずしもお買い得株とならないことを意味しています。

国際会計基準(IFRS)

国際会計基準という言葉がよく見かけます。
国際会計基準(International Accounting Standards(IAS))からスタートして、
現在の正式名称は国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards(IFRS))となっています。

企業活動がグローバル化してきている中で、資金調達・運用方法もグローバルになっています。
その場合、各国の投資家にとって意思決定の重要な判断材料の一つが決算書、財務資料となるわけですが、
適用される会計基準は各国の文化や慣習を踏まえて設定されているため、その作成ルールは各国でバラバラです。

そこで決算書、財務資料の利用者にとって適切な判断ができるように
比較可能性を確保するための国際的な統一的な作成ルールの設定が必要であるとされました。

IFRSのポイントは原則主義にあります。
従来の日本基準では会計処理ルールを細かく定めていましたが(細則主義)、
IFRSでは細かなルールを定めず、基本的な原則だけを設定する方針が取られています。

国際基準との差異を解消するために、日本の会計基準も1990年代後半以降、
急速に変更されてきています。
単独決算⇒連結決算重視、原価会計⇒時価会計、実現主義⇒発生主義、当期純利益⇒包括利益、
損益計算書⇒貸借対照表重視といった流れがあります。

上場大企業を中心にIFRSの採用が増えてきています。

のれん

最近、国際会計基準との関係で「のれん」が話題になっています。
この「のれん」について説明します。
のれんは、企業買収などで発生するもので、買収対象会社の時価純資産額と買収金額との差額をいいます。
通常は、当該会社の将来価値の評価を重視するため、買収金額>時価純資産額となります。
ところが、逆の場合、すなわち、買収金額<時価純資産額となるケースもあります。
「負ののれん」といわれるもので、いわゆるキズモノです。
発生したのれんは、無形固定資産に計上し、20年以内の効果の及ぶ期間で規則的に償却することになります。
また、負ののれんについては、発生時に一括して特別利益に計上することになります。

収益認識基準

収益に関するこれまでの日本基準では、企業会計原則において「売上高は実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る」とされていましたが、
収益認識に関する包括的な会計基準はこれまでありませんでした。
事業内容が多様化、複雑化した現在において、収益をいつ認識すべきかを会計原則の原則的な考え方(実現主義)だけで判断することは容易ではなく、多様な実務が存在していると考えられていることが背景にあります。
そこで、平成30年3月に「収益認識に関する会計基準」は公表されました。
収益認識基準では、「約束した財又はサービスを顧客に移転することにより、履行義務を充足した時に又は充足するにつれて、収益を認識する」とされています。
従来の実現主義に従った収益認識の要件が「財貨の移転又は役務の提供の完了」とそれに対する「対価の成立」であったのに対して、
収益認識会計基準の基本となる原則では、「約束した財又はサービスの顧客への移転を、当該財又はサービスと交換に企業が権利を得ると見込む対価の額で描写するように収益を認識を行う」というものです。
収益認識の基本原則が、「実現主義」から「顧客への支配の移転」へと改正されました。

ROAとROE

最近、新聞紙上でもよく出てくる語句にROAとROEとがあります。
ROAはRETURN ON ASSETSの略で、総資産利益率を言います。
すなわち、利益÷総資産額×100で算出された値(%)で
会社がどれだけの資産を使って(投資)利益を得ているかという評価指標です。

一方、ROAはRETURN ON EQUITYの略で、自己資本(株主資本)利益率を言います。
これは、利益÷自己資本(株主資本)×100で算出された値(%)で
会社の自己資本に対する利益の割合であり、株主目線での評価指標となります。

上場会社についていえば、株主の見る目が厳しくなってきており(コーポレートガバナンス))、
投資先の企業がしっかりと稼いでいるかどうかの基準値としてROE8%以上を求めています。

会社としてはコストパフォーマンス、投資効率の観点から、
まずはROAをしっかり高めることが重要になります。
そのためには負債のレバレッジをも考慮することになりますが
最適な資本構成の下でROEを高めることになります。

労働分配率

このところ労働分配率が低下してきている、といったように使われます。
労働分配率は、会社が産み出した価値の総額(=付加価値)のうちどれだけが人件費に分配されているかという指標で、
以下の算式で求められます。

労働分配率=人件費÷付加価値額

付加価値の求め方には、『控除法』と『加算法』の二通りの求め方がありますがいずれによっても理論上は同じです。
➀控除法は、売上-外部購入費で求められ、
➁加算法は、経常利益+人件費+金融費用+賃借料+租税公課+減価償却費でっ求められます。

損益分岐点分析でおなじみの限界利益(=売上-変動費)にほぼ同じ概念です。
上記の➀控除法に近いですので分かりやすいかもしてません。

人件費は給料、賞与、報酬、法定福利史、福利厚生費、研修費といった人に関する費用の総額です。

一般的に労働分配率は50%程度がいいと言われていますが
要は会社予算の配分をどうするかの指標であるのでどう活用していくかになります。

理想的なのは原資としての労働分配率を抑えつつ、
一人当たりの給与額をアップしていくような取り組みを行っていくことでしょう。

財務3表

決算書に関する本がよく出ています。そこでよく見かける言葉に『財務3表』があります。
財務3表とは、BS:貸借対照表(blance sheet)、PL:損益計算書(profit and loss statement)、
CF:キャッシュフロー計算書(cash-flow statement)の3つをいいます。

決算書と言われるものは正式には、計算書類(会社法)または財務諸表(金融商品取引法)のことで
その範囲はそれぞれ以下の通りとなっています。

 計算書類は、➀貸借対照表、➁損益計算書、⓷株主資本等変動計算書、⓸個別注記表
 財務諸表は、➀貸借対照表、➁損益計算書、⓷株主資本等変動計算書、⓸キャッシュ・フロー計算書

金融商品取引法の適用を受ける会社は上場会社(上場会社に準ずる会社を含む)になりますので、
すべての会社が対象となる会社法上の規定によると、キャッシュ・フロー計算書は対象外となります。
しかしながら、現金ベースでの収支計算の重要性からキャッシュフロー計算書も含めてよく取り上げられています。