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エクジット通信 2025年8月 Vol.155
税務関係のトピック
貸倒損失の実務上のポイントについて
売掛金などの金銭債権の回収ができなくなった場合に貸倒損失を計上しますが、税務上は損金算入できるケースが限られています。今回は貸倒損失の税務上の要件や実務上のポイントを解説します。
税務上、貸倒損失として処理できるのは、以下3つに該当する場合です。
種類 | 内容 | 損金経理 |
①法律上の貸倒 | 法令の規定等により債権の切り捨てや、債務免除を行った場合 | 不要 |
②事実上の貸倒 | 債務者の状況から見て債権全額が回収できないと明らかになった場合 | 必要 |
③形式上の貸倒 | 売掛債権について継続取引先で一定期間取引停止後弁済がない場合、または取立費用が債権を上回る場合 | 必要 |
①の法律上の貸倒は、法令の規定等の決定があった事業年度において損金算入されます。
実務上は決定通知書や債務免除通知などの書類を整備しておく必要があります。
②の事実上の貸倒は、債権金額の全額が回収できないことが明らかになった事業年度において、損金経理をすることが要件となります。なお、担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ、貸倒として損金経理をすることはできません。
③の形式上の貸倒は、継続的な取引を行っていた債務者について資産状況悪化等により取引を停止し、最後の支払期限、最後の弁済時、取引停止時のうち最も遅い時から1年以上経過した事業年度において備忘価額1円を残して損金経理することが要件となります。
また、同一地域の債務者に対する売掛債権の総額が、取立費用よりも少なく、支払を督促しても弁済がない場合には備忘価額1円を残して損金経理することが要件となります。
②の事実上の貸倒と③の形式上の貸倒は、債務者の支払能力の判断がポイントとなりますので、実務上は回収努力のプロセスとその結果を整備しておくことが重要です。具体的には、債権督促や内容証明郵便の記録、宛先不明で戻った郵便物、社内の決裁記録などを整備しておく必要があります。
養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置(養育特例)
従業員の育児休業を支援するものとして、さまざまな制度がありますが、認知不足等が原因で、あまり利用されていない制度があります。その代表的なものとして、厚生年金保険の「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置(養育特例)」というものがあります。そこで、この制度の概要について、以下に紹介いたします。
<概要>
・子どもが3歳に達するまでの養育期間中に標準報酬月額が低下した場合、その養育期間中の報酬の低下が将来の年金額に影響しないよう、その子どもを養育する前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取ることができる仕組みです。
・被保険者の申出に基づき、従前の標準報酬月額を、その期間の標準報酬月額とみなして年金額を計算します。
<対象期間>
・3歳未満の子の養育開始月から、養育する子の3歳誕生日のある月の前月まで。
<申出・手続等>
・被保険者が、事業主を経由して「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書」を年金事務所に提出します。なお、申出時にすでに退職して被保険者資格を喪失していた場合は、被保険者であった方本人が、直接年金事務所に申出・手続をすることになります。
・添付書類は、戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書、住民票の写し、マイナンバーカード等がありますが、被保険者の状況に応じて、省略ができるものや必要となるものが異なりますので、詳しくは年金事務所へお問い合わせください。
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